
小泉 文明 / 山田 進太郎
リリースからわずかに1年!1日1万件以上の出品がなされる超人気フリマアプリと共に脅威のスピード成長をとげた「メルカリ」。今回は山田代表と、本メディア2回目の登場となる小泉取締役が登場!
2013年に突如として現れ群雄割拠のフリマアプリ市場ではやや後発ながら一気にブレイク。
App Store、Google Playをはじめ数多くの賞をかっさらった「メルカリ」。
すでにご存知の方も多いはず…てかそろそろ知らない人のほうが少ないはず。
14.5億円の大型調達を実施したフリマアプリ運営のメルカリ、米国進出へ … なーんてド派手なニュースも飛び込む中、注目度も成長スピードも桁違いのこのサービスの内側のナイショ話が聞けるんじゃないんかと、取材陣もワックワクです!
■記事ハイライト
・先攻か後攻かは関係ない。結局はプロダクトの「質」で決まる。
・日本で始めたのは「たまたま」。世界のプラットフォームを見据えて
・最高のプロダクトは最高のチームワークから
・薄い壁、中古家具…最低限ファシリティにしてみた(ちょっと)深い理由
・2014年 アメリカへ。世界標準への布石と意志
ちょっと待て!思わず口走りそうになる(ある意味)斬新なエントランス
というわけでメルカリのエントランスですよ。
これだけ注目され、話題になり、次は世界か?!と騒がれる人気アプリの提供元、さぞや・・・さぞや・・・!
と期待だらけで向かった取材陣を迎えてくれたのは…!
シール。
……………………?
……?
シール…だねぇ。
確かにメルカリのオフィスみたいだけど、ロゴマークがシールだねぇ・・・。
あれ…えーっと、あれ?
メルカリ…だよね?
なんというかこう…言葉にできないアレな感じに、かなりポカーンとしている取材陣...。
その前に現れた山田代表&小泉取締役!

おお!メルカリパーカー!
やや着古された感もあるけど確かにメルカリパーカー!
ものすごく背景がガラーーーンとしてるけど今はそれは関係ない!とりあえずここはメルカリだった!よかった!
ようやくテンション上がってきた取材陣、オフィスの事とかなんか色々直接聞いてみたいと思います!
後発だろうと関係ない。結局はプロダクトの「質」が重要
―山田
いやぁお待たせして申し訳ない。タスクリストが4桁くらい溜まっちゃってまして。
優先順位を付けて、高い効果が見込めるものから順に取り組んでいるところなんですけどね。

??!… なんかサラっととんでもないこと言われた気がするぞ?
タスクリストが4ケタ……!?
え…マジですか?
いやだって、すでにかなり使いやすいですよメルカリのアプリ。
UXも良く考えられていて、いつの間にか「メルカリで売れるものないかなー」って自分の部屋を掃除し始めちゃうくらいには僕もハマってますよ?
―山田
ええ。本気です。
というか、これでも大分減ったほうなんですけどね。
さてどうしましょう……どうやらこの方、本気らしいです。
そりゃ細かいのまで集めればそれくらいどこのスタートアップアプリもいっちゃうのかも知れませんが。
なんとなく勝手に「メルカリは完成度が高い」なんて思っていたので正直ビックリしました。
―山田
結局ユーザーは「目新しさ」より「質」を重視してサービスを選ぶんです。FacebookもGoogleも、業界的には後発のサービスだったけど「質の高さ」で勝っていったじゃないですか。
まだまだ。メルカリの質は低いと思っています。

なるほど。徐々に殺風景(すぎる)オフィスとかシールなエントランスに納得できてきました。
確かにいきなりC2Cマーケットでシェアを獲得し、一気に有名になったメルカリですが、言ってもまだ設立1年!全てはまだスタートライン上ってとこですもんね。
既に激戦区と言われて久しい分野にあって、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長するメルカリの裏側を支える「徹底的な質へのこだわり」に触れたような気がします。
…自分で言ってて鳥肌立ったわ。
日本で始めたのは「たまたま」世界のプラットフォームを見据えて
―山田
日本で始めたのは、地の利があったから。たまたまです。シンガポールでも、シリコンバレーでもよかったんです。
もともとグローバルなサービスを作ることを目指していて、それは今ならスマートフォンアプリだろうと。であれば、スマートフォンの普及率が高くて定額でハイスピードな日本からやるのは合理性があるということです。

既に日本ユーザーの中で急速に浸透をはじめているメルカリがどうやって国内のシェアを獲得したのか。
多分ユーザーの心理を突いたすごくコアな戦略の話が聞けるんだろーなーとか考えていた取材陣でしたが、完全に意表をつかれました。
だって「たまたま」って言い切られちゃいましたもの。
いや、しかしいくらなんでも「たまたま」ってことは無いでしょう?…ねぇ?
―山田
僕らが目指してるのは日常風景を変革させる「インフラ」みたいなものなんです。誰が作ってるのかは知らないけど当たり前にそこにある。
そんな世界の常識を変革させるサービスを作ろうとして、たまたま日本からやるのがよさそうだったから。もともと世界中の人に届くよう作って日本”でも”上手く行った。ということだと思っています。

うっはぁぁーーーー… か …… 格好いい!
もうどうしましょう。無駄に胸がときめいてきちゃいましたよ!
世界を変えるためのサービスを作った。だから当然日本でも上手く行った。こんなん言ってみたいっすねぇーー!
そりゃ改善策のチケットだけで4桁超えるわ・・・。
目指してるとこが違いすぎるってのがビッシバッシ伝わってきました。えぇ。
最高のプロダクトは最高のチームワークから
―山田
とにかく最高を目指したいので、やりたいことが山積みになってきてます…。
だから何よりスピードが重要になってくるし、そのためにもチームワークが最も重要なんです。

―山田
例えばエンジニアでも、技術力だけでは足りません。デザイナーやカスタマーサポートと協業し、コラボレーションしながらサービスを高めていけるチームワークが重要ですね。
なんと・・・!
普通の開発体制じゃないだろうとは思っていましたが、やっぱり。
いわゆるウォーターフォール型ではなく、職域の垣根をいっさい取っ払い、カスタマーサポートに集まったユーザーからの改善要望を迅速に取り入れてるスタイルだそう。

改善要望を確認し、即プロトタイプを作り、チームで使ってみて…そこで「やっぱり使いにくいね」となればデザイナーが即座に修正を行なう。
山田さん曰く、そんなローンチ直前みたいなスピード感がメルカリの日常なんだとか。
―山田
メルカリは、天才が作る天才のためのプロダクトじゃないですからね。
世界中のあらゆる人々の使用を想定して作っているから、最新技術を駆使していてもUI/UX が分かりにくければまったくダメです。
少しでも改善点が見つかれば改善を重ねるべきで、そこを全員が理解していて会社としてのチームワークはすごくいいと思います。

なるほどなー。そりゃ優先度なんかはあるだろうけど、狙う先が「世界の標準」であるならそうなるだろうし、やってる側も楽しいでしょうね。
ちなみにエンジニア数=10名という、ウソみたいな少数精鋭集団のメルカリでは、自然発生的に様々な勉強会や開催されたり、ディスカッションが行なわれていていたりしているんだとか。
山田さんの言うとおり、一人ひとりが何をするべきか理解しているってことなんでしょうね。いや、本当スゴイ。
薄い壁、中古家具…最低限ファシリティにしてみた(ちょっと)深い理由
―山田
できればこれからも「俺が世界のスタンダードを作るんだ!」て自信に満ちた人を増やしていきたいですね。
そういう人なら、メルカリのミッションに共感してもらえると思うし、想いがうまく重なるでしょうからね。

格好いいオフィスや充実した福利厚生…そうしたものにしか魅力を感じない人には、正直あんまり来てほしくないなあ…。
とも語って(というかこぼして)くれた山田さん。
まだガラーンとしたオフィスを眺めながら茶目っ気たっぷりにこう続けてくれました。
―山田
だからこそ、あえてオフィスはシンプルにしたんですよね。
最低限のファシリティだけがあれば、それで十分ですから。でも、ちょっとケチりすぎたかな(笑)?壁ホントに薄いですからね(笑)
そう語る山田氏の目線の先には、段ボール箱を2つ重ねたデスクの上にPCを乗せ、立ちながら開発に挑むエンジニアの姿が。

はたから見るとちょっと笑っちゃうような画なのに、どっからどう見ても真剣そのもの。
「彼もまた世界を見ているのか…。」とかなんとか厨二病チックに意味分かんないセリフが言いたくなってきたので…とりあえずグッと飲み込みました。
2014年 アメリカへ。世界標準への布石と意志
―山田
次はアメリカへ進出します。
もちろんアジア各国のほうが文化的にも近いですし事業はやり易いのですが、アメリカを抑えなければ決して世界ブランドにはなれない。
アジアのローカルサービスで終わるつもりはありませんからね。

これまでにも映画情報サイト『映画生活』や写真共有サービス『フォト蔵』、ソーシャルゲーム『まちつく!』など様々なヒットコンテンツを世に送り出してきた山田さん。
その原動力は常に「ワールドワイドなビジネスを興したい」という一点だったんだとか。
いよいよの機会を目の前にして、「チャンスは目の前にあるんです」と楽しそうに語る姿は、なんというか凄腕社長っていうよりワクワクを隠し切れない子供みたいで印象的でした。
まとめと感動のおすそわけ
既に年代やリテラシーのレベルさえも違う本当に多くの日本人にとって既に日常のツールになりつつあるメルカリ。

メッチャクチャ忙しいハズの山田さんから、じっっくりとお話を伺えた2時間を終えてみると …… 僕ら取材陣も山田さんの熱に浮かされてしまったのか
Twitterが世界のコミュニケーションの在り方を変えたように、メルカリもまた世界の商習慣の在り方を変え、生み出していくんだろうと本気で思えてしまいました。

帰り際に見たエントランスのシールは、なぜかもはや格好良く輝いてすら見えていました。(すいませんちょっとだけ盛りました)
……。で、結局冒頭だけしかいなかった小泉さんはどこ行ってたんですか?
株式会社メルカリ(Mercari, Inc.)の会社概要
会社名 | 株式会社メルカリ(Mercari, Inc.) |
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代表者 | 代表取締役 山田進太郎 |
設立 | 2013年2月1日 |
所在地 |
〒106-0032
東京都港区六本木7-15-7 新六本木ビル 7F |
事業内容 | スマートフォンユーザー向けフリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運営 |